2023年5月28日 山田太一シリーズ『男たちの旅路』を観る

NHKオンデマンドで山田太一シリーズ『男たちの旅路』(1976)を観始めた。……といってもまだ1話目なのだが、この時点で色々と思うところがあったのでメモしておきます。 まず、ゴダイゴ(ミッキー吉野グループ)による音楽がめちゃくちゃクオリティ高いジャズ…

2023年5月24日

急に「あれ食べたい」と思い立ったら、できる限りすぐに食べるように心掛けている。今日は大門にある「味芳斎」の麻婆豆腐が食べたくなり、仕事を終えて、夜の数時間をかけて行ってきた。もう10年以上前、この辺りでアルバイトしていた時に偶然立ち寄って、…

私が好きな坂本龍一の楽曲

を、プレイリストにしました。以前から自分用として一人で聴いてたものなのですが公開します。 小6の自分はミスチルに夢中で『アトミック・ハート』と『深海』ばかり聴いていたのだが、そのうちに他の音楽も色々と聴きたい気持ちになり、雑誌に載っているミ…

魔境としてのTwitterに関するメモ

イーロン・マスクによってTwitterがざわめく日々が続いているが、日本ユーザーの様子で特に興味深いのが、先日の大量解雇に対する反応だ。ざっくりまとめてしまうと解雇されたのは意識高い系だみたいな誘導が存在し、なんとなくその説が普及しているといった…

小学生に「それってあなたの感想ですよね」と言われたら

「それってあなたの感想ですよね」と言う小学生。そんなエピソードがTwitter上には散見され、本当にそうなの!? なんだかネットに相性の良さそうな小話なんじゃないのと疑ってかかっていたのだが、最近ではリアル知人からも何件か同様の報告を聞いたので、…

年表:安倍晋三 1954〜2022

*1954年9月21日 毎日新聞の記者であった安倍晋太郎と妻洋子の次男として東京都に生まれる *1957年4月20日 岸信介、NHKラジオ「総理大臣岸さんの茶の間を訪ねて」に出演 孫の晋三も出演 *1960年6月頃 新安保条約反対のデモに囲まれる中、両親と南平台の岸…

今日も相変わらず歴史の中に潜りたい

暗殺からの統一教会の件で、にわかに冷戦期日本の反共組織などに注目が集まっている昨今。国際勝共連合の結成は1968年。そこで想定されていた仮想敵は全共闘的なるものだった。現在、日本会議の事務総長を務める椛島有三は長崎大学で新左翼の学生たちとバト…

ずっと続くいやな予感(の中で何を書けばよいのか)

高橋和巳のエッセイに「暗殺の哲学」というタイトルのものがあったと思い出し、早朝から本棚を漁って読み返していた。司馬遷、カミュ、ドストエフスキーなどを引きながら暗殺とは何かを問うが、最後に一行「この稿には何らの結論もない。」と記して締められ…

2022.3.23 ゼレンスキー演説

ゼレンスキー大統領の国会演説を観る。ネットなどで懸念されていた諸々の外交問題や歴史には触れない、穏当な内容だったと言ってよいだろう。 日頃カルチャー批評のようなことをやっていると陥りがちなのが、「日本人の特性は●●で〜」と断定的な日本人論をや…

2022.3.19

日本共産党の議員の人がTwitterにて、ロシアで反戦を唱えたアナウンサーを讃えて「真の愛国者」だ、と書いていて、一瞬「うわっ」となってしまったのだが、よくよく考えれば、戦後(1960年代以降)の日共は民族自決、自主独立路線だった(わざわざ共産党オフ…

2021.3.17

※2022ウクライナ侵攻に関してはたくさん書きたいことがあるのだけど、専門家でもない、一介の歴史好き、年表好きでしかない自分が何か書いたところで、床屋談義にしかならないことは自覚しており、少し足踏みしていた。けれど、床屋談義でも何か残して置いた…

1972年当時の有名人は、あさま山荘事件をどう見ていたのか

※書きかけのまま放置していたのですが、本日であさま山荘事件(検挙)から50年でもあり、追記した上でまとめました。なお、TVOD『政治家失言クロニクル』(P-VINE)でも、本書をもとにした話をしているので、関心を持たれた方はぜひ、手にとってみて下さい。…

コロナ禍に関する現状についての雑感

コロナウイルスについては不確定な要素が多すぎて専門家にお任せしたいという気持ちでいるのだが、やはりここまで長引いていると自分の心理的にいろいろと食らってしまうものもあり、素人考えながら雑感を記しておきたくなった。 こと日本において、今後の見…

SNS言説の背景を考えるために

日本において「終戦」と認識されている日に、ターリバーンがカブールを陥落させたというニュースが入ってくるのは、なんとも妙な気分である。いやもちろんそれぞれは別々の事象であることを強調したうえではあるのだが。太平洋戦争の「終戦」が、レコード盤…

年表で見る! かつての東京オリンピック

1938年7月、日中戦争の影響により、1940年東京オリンピックが中止になった。 それから83年後の夏、コロナウィルスが拡大するなか2020年東京オリンピックが開催され、この記事がアップされるころに閉幕しようとしている。 さまざまな議論を読んだ今回のオリン…

映像の20世紀、映像の21世紀

深夜にテレビをつけたら「映像の世紀」が再放送されていたので、急にどうしたNHK、と思いながら見入ってしまった。加古隆による、ででででーん、というテーマソングも好きだ。サブスクにもあるので、出勤時にかけながら歩くと壮大な気分になれる。 この番組…

「ことばへの犯罪」とは

つい先日、芹沢俊介・編著『少年犯罪論』(青弓社)という本を読んでいた。1992年に刊行された、複数の論者による、当時の少年犯罪から日常での振る舞いに至る「子ども」たちの様相についての論考が集まっている。そのなかにある向井吉人という方の「ことば…

平成の思い出 <2>

僕がフィッシュマンズ『宇宙 日本 世田谷』を購入したのは、宇宙 日本 茨城県の、栃木県の県境にポツリとある無人駅の付近にそびえ立つーーというより広大な土地の平面上にぐにゃりと広がるように建設されたショッピング・センターのなかに入っている、BOOKO…

読書メモ 2021.6.27

百木漠「スマホとデジタル全体主義」(『世界』2021年7月号)を読む。 「二一世紀には、資本主義と全体主義だけでなく、データ主義が人間文明にとってのあらたな脅威となる可能性がある」 という指摘が面白い。20世紀は資本主義と全体主義が、人間の活動を大…

「年表・サブカルチャーと社会の50年」展 プレイリスト

先週は「年表・サブカルチャーと社会の50年」展 at 美学校スタジオ お越しいただいた皆様、気にしていただいた皆様、ありがとうございました!徐々にパーティー感も出てきて、とても楽しい時間でした。 当日、会場で「1968〜2020年までのトップヒット曲」と…

Twitter上で威勢のいい防衛大臣について

自衛隊大規模予約センターの不具合について報道したメディアに対し、防衛大臣がTwitter上で抗議していた。しかもまあ、どだい無理な理屈で、各所からツッコまれつつも、一部「ツッコミに対するツッコミ」的な擁護の動きがある。この構図自体はよくあるパター…

【書評】70数年の時空間を漂い続ける ―山本昭宏『戦後民主主義』―

戦後民主主義とは、日本独特の概念といえる。「戦後」は太平洋戦争後を指しているし、「民主主義」という言葉には、先の戦争の反省のうえで、かつ米国の占領下に展開された日本の体制、日本国憲法そのものでもある。以上の二点を抜けば定義は曖昧で、それゆ…

【書評】時代の帰結であると同時に、次の兆候である ー磯部涼『令和元年のテロリズム』ー

現代とはいかなる時代か。インターネットを見ていると、毎日のようにホットトピックが流れてきて、それらに対するほぼ直感的な論評で溢れる風景が日常となって久しい。つい先日ーー世界的パンデミックが到来する令和2年の前年ーー令和元年に発生した複数の事…

【書評】アニメを見て、戦争を自問する ―藤津亮太『アニメと戦争』―

前回は山之内靖、ヴィクター・コシュマン、成田龍一・編『総力戦と現代化』を通して、戦中と戦後体制は連続しているという歴史的アプローチについて書いたが、念のため付け加えておきたいのは、これはあくまでもシステム論的な見方であって、実際にそこに生…

令和に考える「総力戦」

先月公開された『シン・エヴァンゲリオン』を観るにあたって、アニメ素人の自分が旧作や新劇場版を観返す日々が続いていたのだが、全編にわたり「総力戦」という言葉がチラホラ出てくるのがなんとも気になった。「総力戦」というのは、軍事力だけでなく、科…

年表で見る!『花束みたいな恋をした』

すでに各所で話題を呼んでいる映画『花束みたいな恋をした』。とりあえず友人たちにはもう語り尽くしてしまったし、感想を発表するかどうか迷っていたけど、ほぼ時系列で、舞台となる年がきっちりテロップで出るという、年表好きとしてはバッチリな内容とい…

パンス年表が1968年から始まっている件

なぜ「我々はあしたのジョー」だったのか 以前、日本の歴史や文化にとても詳しい韓国の友達とお酒を飲んでいるときに、こう問われたことがあります。1970年、赤軍派メンバーがよど号をハイジャックした際、「我々は『明日のジョー』である」という声明を残し…

革命について

NHK「100分de名著」が、マルクス『資本論』などをテーマにしていて、僕の観測範囲だとわりと評判になっている。実際見てみたら面白かった。なんというか、自分たちが生きている世界を根底から問うような内容なのが良いと思う。根底から問い、ひっくり返す可…

『年表・サブカルチャーと社会の50年 1968-2020〈完全版〉』発売しました。

『年表・サブカルチャーと社会の50年 1968-2020〈完全版〉』発売しました。 去年刊行したTVOD『ポスト・サブカル焼け跡派』。その巻末につけた年表を大幅に増補した内容です。1968年1月から2020年12月の間に、おもに日本で起こった出来事をひたすら記載して…

緊急事態宣言の前に

首相が会見をして、緊急事態宣言の発出を検討すると言っていたが、それにしてもグダグダが度を越している。この身動きのとれなさ、新陳代謝の悪さこそが日本の悪癖であって、そこを総合的に分析した現代日本論が必要ではなかろうか。根拠なく希望に満ち溢れ…