魔境としてのTwitterに関するメモ

イーロン・マスクによってTwitterがざわめく日々が続いているが、日本ユーザーの様子で特に興味深いのが、先日の大量解雇に対する反応だ。ざっくりまとめてしまうと解雇されたのは意識高い系だみたいな誘導が存在し、なんとなくその説が普及しているといった具合だ。なんでもTwitterの社員は1日4時間くらいしか働いていないし、仕事中にヨガや日光浴をしてるようなスーパー有閑階級だという設定というか物語がウケているようだが、ソースはよくわからない。加えて、それらの社員は現代の左翼的な思想(広義のリベラリズム多文化主義がそこでは名指される)を持っている、なんて尾ひれもついている。例としてこちらのツイートなど(この人には昔なぜかブロックされていたのだがいつの間にか解除されておる)、インフルエンサーの発信に喜ぶ人たちがいることまでは観測できる。このような説の元ネタとして「ルンペン・ブルジョワジー」なる単語を唱える記事の存在があるようだ。少し前に見かけた記事だがどなたかによる日本語訳が出て広がっている。この記事自体は興味深く読んだが、昨今の多文化主義批判の中でもちょっと毒っ気の強いバリエーションであって、これだけを根拠に欧米の企業社会を定義するのはわりと無理があるような。。。特に日本に置き換えるとほとんど当てはまらないのが現実なんじゃなかろうか。まあ、大企業の中のことは僕はよく知らないのだけど、、少なくともTwitter日本法人は明らかな人権侵害も放置しがちなのでたびたび批判されていたはずだ。「トレンド」が人為的であるという話も以前から知られていたものだが、これほど驚きを持って受け取られるのは、やはりTwitterというのは自由な言論空間として認識されている(認識したい)側面が強いのかなと思う。

冒頭の話題に戻るが、Twitter社員がスーパー有閑階級だという説に確たる根拠はなく、このようなツイートもあるのだが、ツイートにくっついているリプライ群に注目されたい。さまざまなアカウントがいや絶対マジメに仕事してない!と必死で食らいついており、理解に苦しむ。彼らをかき立てるその欲望とはなんなのか。とにかく自分に気持ちいい言説を求め続け、複雑な現象を簡単に解読し断定するためならどんな説にでも乗っかっていこうとする、その果てには陰謀論が待っている。これはイデオロギーの右左問わずそうで、陰謀論とは特定のイデオロギーや善悪ではなく、上記したような行動様式に宿るものだ。そんな状況を日々確認できるTwitterは相変わらず魔境である。

魔境としてのTwitterがある一方で、ユーザーは「ほっこりしたいい話」を求めるもので(というよりそっちが多数)、奇しくも本日コロンブスの卵のごとく「画像を逆さにする」だけで好感度爆上げをゲットするという手法を目撃し静かな衝撃を受けた。

結論:スターはすごい。