2021-01-01から1年間の記事一覧

コロナ禍に関する現状についての雑感

コロナウイルスについては不確定な要素が多すぎて専門家にお任せしたいという気持ちでいるのだが、やはりここまで長引いていると自分の心理的にいろいろと食らってしまうものもあり、素人考えながら雑感を記しておきたくなった。 こと日本において、今後の見…

SNS言説の背景を考えるために

日本において「終戦」と認識されている日に、ターリバーンがカブールを陥落させたというニュースが入ってくるのは、なんとも妙な気分である。いやもちろんそれぞれは別々の事象であることを強調したうえではあるのだが。太平洋戦争の「終戦」が、レコード盤…

年表で見る! かつての東京オリンピック

1938年7月、日中戦争の影響により、1940年東京オリンピックが中止になった。 それから83年後の夏、コロナウィルスが拡大するなか2020年東京オリンピックが開催され、この記事がアップされるころに閉幕しようとしている。 さまざまな議論を読んだ今回のオリン…

映像の20世紀、映像の21世紀

深夜にテレビをつけたら「映像の世紀」が再放送されていたので、急にどうしたNHK、と思いながら見入ってしまった。加古隆による、ででででーん、というテーマソングも好きだ。サブスクにもあるので、出勤時にかけながら歩くと壮大な気分になれる。 この番組…

「ことばへの犯罪」とは

つい先日、芹沢俊介・編著『少年犯罪論』(青弓社)という本を読んでいた。1992年に刊行された、複数の論者による、当時の少年犯罪から日常での振る舞いに至る「子ども」たちの様相についての論考が集まっている。そのなかにある向井吉人という方の「ことば…

平成の思い出 <2>

僕がフィッシュマンズ『宇宙 日本 世田谷』を購入したのは、宇宙 日本 茨城県の、栃木県の県境にポツリとある無人駅の付近にそびえ立つーーというより広大な土地の平面上にぐにゃりと広がるように建設されたショッピング・センターのなかに入っている、BOOKO…

読書メモ 2021.6.27

百木漠「スマホとデジタル全体主義」(『世界』2021年7月号)を読む。 「二一世紀には、資本主義と全体主義だけでなく、データ主義が人間文明にとってのあらたな脅威となる可能性がある」 という指摘が面白い。20世紀は資本主義と全体主義が、人間の活動を大…

「年表・サブカルチャーと社会の50年」展 プレイリスト

先週は「年表・サブカルチャーと社会の50年」展 at 美学校スタジオ お越しいただいた皆様、気にしていただいた皆様、ありがとうございました!徐々にパーティー感も出てきて、とても楽しい時間でした。 当日、会場で「1968〜2020年までのトップヒット曲」と…

Twitter上で威勢のいい防衛大臣について

自衛隊大規模予約センターの不具合について報道したメディアに対し、防衛大臣がTwitter上で抗議していた。しかもまあ、どだい無理な理屈で、各所からツッコまれつつも、一部「ツッコミに対するツッコミ」的な擁護の動きがある。この構図自体はよくあるパター…

【書評】70数年の時空間を漂い続ける ―山本昭宏『戦後民主主義』―

戦後民主主義とは、日本独特の概念といえる。「戦後」は太平洋戦争後を指しているし、「民主主義」という言葉には、先の戦争の反省のうえで、かつ米国の占領下に展開された日本の体制、日本国憲法そのものでもある。以上の二点を抜けば定義は曖昧で、それゆ…

【書評】時代の帰結であると同時に、次の兆候である ー磯部涼『令和元年のテロリズム』ー

現代とはいかなる時代か。インターネットを見ていると、毎日のようにホットトピックが流れてきて、それらに対するほぼ直感的な論評で溢れる風景が日常となって久しい。つい先日ーー世界的パンデミックが到来する令和2年の前年ーー令和元年に発生した複数の事…

【書評】アニメを見て、戦争を自問する ―藤津亮太『アニメと戦争』―

前回は山之内靖、ヴィクター・コシュマン、成田龍一・編『総力戦と現代化』を通して、戦中と戦後体制は連続しているという歴史的アプローチについて書いたが、念のため付け加えておきたいのは、これはあくまでもシステム論的な見方であって、実際にそこに生…

令和に考える「総力戦」

先月公開された『シン・エヴァンゲリオン』を観るにあたって、アニメ素人の自分が旧作や新劇場版を観返す日々が続いていたのだが、全編にわたり「総力戦」という言葉がチラホラ出てくるのがなんとも気になった。「総力戦」というのは、軍事力だけでなく、科…

年表で見る!『花束みたいな恋をした』

すでに各所で話題を呼んでいる映画『花束みたいな恋をした』。とりあえず友人たちにはもう語り尽くしてしまったし、感想を発表するかどうか迷っていたけど、ほぼ時系列で、舞台となる年がきっちりテロップで出るという、年表好きとしてはバッチリな内容とい…

パンス年表が1968年から始まっている件

なぜ「我々はあしたのジョー」だったのか 以前、日本の歴史や文化にとても詳しい韓国の友達とお酒を飲んでいるときに、こう問われたことがあります。1970年、赤軍派メンバーがよど号をハイジャックした際、「我々は『明日のジョー』である」という声明を残し…

革命について

NHK「100分de名著」が、マルクス『資本論』などをテーマにしていて、僕の観測範囲だとわりと評判になっている。実際見てみたら面白かった。なんというか、自分たちが生きている世界を根底から問うような内容なのが良いと思う。根底から問い、ひっくり返す可…

『年表・サブカルチャーと社会の50年 1968-2020〈完全版〉』発売しました。

『年表・サブカルチャーと社会の50年 1968-2020〈完全版〉』発売しました。 去年刊行したTVOD『ポスト・サブカル焼け跡派』。その巻末につけた年表を大幅に増補した内容です。1968年1月から2020年12月の間に、おもに日本で起こった出来事をひたすら記載して…

緊急事態宣言の前に

首相が会見をして、緊急事態宣言の発出を検討すると言っていたが、それにしてもグダグダが度を越している。この身動きのとれなさ、新陳代謝の悪さこそが日本の悪癖であって、そこを総合的に分析した現代日本論が必要ではなかろうか。根拠なく希望に満ち溢れ…

無と餅の元旦

いつもは実家に帰ったりと慌ただしいのだけど、今回は帰省しないということで元旦は完全に「無」だった。一年に一度こんな日があるというのは精神衛生上よいことだ、と思う。 しかし僕は貧乏性なところがあって、完全に何もしないで過ごすことができない。そ…