小学生に「それってあなたの感想ですよね」と言われたら

「それってあなたの感想ですよね」と言う小学生。そんなエピソードがTwitter上には散見され、本当にそうなの!? なんだかネットに相性の良さそうな小話なんじゃないのと疑ってかかっていたのだが、最近ではリアル知人からも何件か同様の報告を聞いたので、どうやら本当に存在するようだ。

 

そうなるとやはり「もし自分が言われたら」どう反応しようかなと考えてしまうのだが、頭ごなしに「そんなこと言うな」と否定したくはない。自分が子どもの頃、両親がなにか自分の知らない話をしていると「なになに〜」とよく割って入っていたのだが、そのたびに「子どもが大人の話に入ってくるな」と叱られたものだった。すると自分はシュンとしてしまうわけだが、入ってこられたくない話題だったら自分がいないところでしてくれよと、いまだにちょっと腹を立ててしまう。

 

話がちょっとズレたが、何が言いたいかというと、頭ごなしにコミュニケーションを遮断されてしまうと、38歳の自分がいまだに根に持っているように言われた子どもはずっと覚えていることもあるので、そこは気をつけたいのである。ただ、じつは「それってあなたの感想ですよね」もまた、コミュニケーションを遮断する類の言葉である。遮断してなんとなく勝った感が出るので流行るのだろう。子どもは大人よりもはるかに速いスピードで成長していくものだが、ちょっとズルいというかチート的な方法論を見つけたら取り入れたくなってしまうもので、簡単にイイ気分になれるツールとして採用されるのも無理のない話だろう。

 

それにしても、本来この言葉が指す意味を正確に表すなら「それってあなたの主観ですよね」と言った方がベターかと思われる。しかしそこをより身近な「感想」という単語にするだけで、言葉の持つ高尚さの段階を下げるような効果もある。子どもにもなじみ深い言葉になる。ここに作者の巧みさがある。

 

よくよく考えてもみれば、人間がなにかの出来事に対して意見するときはたいていが「感想」ないしは「主観」なのである。瞬時に客観的な意見を述べられるなんてのはそれぞれのテーマにおける専門家に限られてしまうだろう。それが否定的に機能すること自体が本来は不自然なことではなかろうか。なので、もし小学生にそう言われたら、「そう、これは感想なのだ」と素直に認めるのが良さそうだ。かつ、相手の「感想」も聞いて、一致する部分、違っている部分を認識し合うとやり取りが生まれるとも言いたくなる。それは楽しいものだと思ってもらえたらなお良い。大人に同じことを言われたら無視します。

 

ただ一点付け加えると、「感想」から始めるのは自然なことだが、延々と「感想」だけをずっと垂れ流し続けて、あたかもそれがいっぱしのオピニオンであるような態度を取られるのはちょっと辛い。要するに感想を表明したあとには、時間をかけてそれについて調べ、揉みほぐしておくことが大切だと思う。しかし、そうやって寝かせた上での意見も「それってあなたの感想ですよね」で済ませてしまうこともできるので厄介ではある。ーーと、普通の感想をまずは記しておく。