2021.3.17

※2022ウクライナ侵攻に関してはたくさん書きたいことがあるのだけど、専門家でもない、一介の歴史好き、年表好きでしかない自分が何か書いたところで、床屋談義にしかならないことは自覚しており、少し足踏みしていた。けれど、床屋談義でも何か残して置いた方がいいのかもしれない、それもTwitterにポコポコと書いてツリーなんかにするよりは、ある程度の分量で、とも思い……。

 

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ゼレンスキー・ウクライナ大統領が米国議会向けの演説で真珠湾攻撃の話を持ち出したのが、日本人を微妙な気分にさせているようだ。Twitterだと、なんとなくウヨっている人に限らず、色んな人がモヤモヤしているのが見受けられる。

 

ゼレンスキーの言い分は特に奇妙なものではないだろう。まず、第二次世界大戦+太平洋戦争において、日本やドイツがかなり逸脱した行動を取り、結果敗北し、その後、敗戦国を否定した上での体制、秩序がなんだかんだでこれまで続いているなか、現在それを脅かしているのがプーチン・ロシアという見立ては間違っていないので、第二次世界大戦中(1941)に生起し、悲劇の象徴とされているパールハーバーになぞらえるのは実に妥当である。

 

そこで微妙な気分になってしまう日本人のアイデンティティがあるとすれば、実は日本人は戦後に形成された「連合国」による秩序の一員に入れてもらっているようでいて、どこかで折り合いが付いていないまま現代まで来ているということが浮き彫りになっているのではないだろうか。

 

しかし、ゼレンスキーは日本でも演説したいと言っているので、そのときは今回の発言とどう折り合いをつけるのかという疑問は湧く。日本に来たら日本人のアイデンティティを刺激するために原爆や空襲の話をするのか。そして(ないだろうけど)中国向けには満州事変の話をしたりするのか。それでは単に言ってる場所によって立ち位置がコロコロ変わる人ということになってしまう。そんなことはしないだろうとも思うけれど。

 

今回の件で問われているのはむしろ日本の方で、なんならかつては今のロシアと似たようなことをやってたのだから、まず日本人はそれをよく噛み締めておくべきなのである。戦後の国際秩序はそれが前提となっており、その恩恵を受けてここまで来ているのだから。

 

ただ、日本でゼレンスキーが演説するならば、この戦後の秩序という認識とどう折り合いをつけて話すのか、少し気になる。ましてや同じ枢軸国だったドイツではどうだろうか、などと考えていたら、もう今日の時点でドイツでは演説をしているようだ。内容はこれから確認したい。