デヴィッド・スタッブス『フューチャー・デイズーークラウトロックとモダン・ドイツの構築』

デヴィッド・スタッブス『フューチャー・デイズーークラウトロックとモダン・ドイツの構築』。年末年始に読もうと思って買ったのだが、うっかり読み始めたら夢中になってしまった。長い「プロローグ」で、戦後ドイツからクラウトロック誕生までーーつまり1968年前後までのーー西ドイツの通史がまとまっている。ざっと読み始めて思ったのは、わりと日本の戦後〜全共闘あたりまでの時代と似ているということだ。そもそもどちらも元枢軸国であり、戦後は地理的に「東側」との境目に位置したというのもあり、ヨーロッパはマーシャル・プラン、日本は日米安保の下に置かれた。つまり「アメリカ」が流入した。そして、二国とも60年代までにGDPトップまで成長している。バーダー・マインホフや連合赤軍日本赤軍のようなコマンドを生み出してしまったこともよく知られている通りだ(70年代は同じく元・枢軸国であるイタリアでもテロリストが猛威を奮った)。

とはいえ異なる部分もある、確実にある、というのはやはり、現在のドイツと日本の文化や政治状況が(どっちが良いとかといった判断は保留としても)わりと異なっていることから感じる印象でもあって、それが具体的に何なのかというのはまだ掴みかねるのだが、イルミン・シュミットの発言から読み取れる、十二音音楽、つまり物語性のある音楽をスターリニズムだと捉えていた、というのはわりとヒントになるかもしれない。スターリン主義の否定は日本の新左翼にとっても喫緊の課題だったが、それを理論的レベルに留まらず音楽にまで徹底した試みは日本にあっただろうかと考えを巡らせてしまう。

 

取り急ぎメモ。正月までに読もう。